2025年6月にオープンした「パティスリー バジック」は、エコール辻東京で長年にわたり洋菓子教育を担ってきた山﨑正也シェフによる新たな挑戦の場。
緑色の扉を開けると、淡い水色の棚に白磁のポットやアンティークの絵皿が並び、どこかヨーロッパの街角を思わせる。
凛とした空気の中に、どこか温もりがある。そんな空間だ。

シックなコンクリートの建物の1階。
店内は白とミントブルーを基調にした上品な空間で、焼き菓子や生菓子が整然と並ぶ。
ショーケースには、ミルフィーユ、フラン、パリブレストなど、クラシックなフランス菓子が静かに並ぶ。
一つひとつの仕上がりに、職人としての矜持と誠実さが宿っている。
フラン・ヴァニーユ
しっとりと焼かれたパイ生地の中に、バニラが香る濃厚なカスタード。
フォークを入れると、ぷるん、とした弾力とともに湯気のように香りが立ちのぼる。
カスタードの奥には、バニラビーンズのつぶつぶが見え隠れし、まろやかでありながら凛とした甘さ。
焼き込みの香ばしさが後を引く、まさに「基本に忠実」な逸品。

ミルフィーユ
幾重にも重ねられたパイの層がサクサクと音を立てる。
軽やかで繊細なクリームが、ほのかなラムの香りとともに舌の上でとろけていく。
派手さはないが、きちんと美味しい。
教壇に立ち続けてきたシェフの「お菓子の教科書」のような一品。

シュー・ア・ラ・クレーム
表面のクランブルは香ばしく、厚みのあるシュー生地の中には濃厚なカスタードがぎっしり。
食べ進めるほどに、クリームの温度と香りが口の中で混ざり合い、幸福感がじんわりと広がる。
派手な演出はなくとも、基本が徹底された正統派の美味しさ。そして、ちょっと大きめなのがうれしいポイント‼️

名前の“Basique(基本)”の通り、奇をてらわない誠実なお菓子が並ぶ。
素材、火加減、仕上げの一つひとつに、積み重ねてきた経験と確かな技が息づいている。
口にするたびに、「正統」という言葉の意味を思い出させてくれる。
紅茶はぜひ、アッサムやディンブラを。
まっすぐな甘さと香ばしさを、柔らかく包んでくれるだろう。
東京都調布市仙川町1-25-4 シティハウス仙川
03-5314-9904
11:00〜18:00
休:月〜水曜
コメント