フランス語の parfait(パルフェ)は「完全な」という意味を持ちます。
その名の通り、グラスの中に美味しさと美しさを折り重ねた冷たいデザート。
ひと匙ごとに異なる香りと食感が現れる、まるで小さな宇宙のような存在です。
もともとフランス菓子のパルフェは、卵黄や生クリーム、砂糖を混ぜて凍らせた氷菓。
平皿に盛られ、なめらかな口どけを楽しむものでした。
日本に「パルフェ」が記録として現れるのは1893年。
晩餐会のメニューに登場した「Parfait Fujiyama」は、
現在のようなグラス仕立てではなく、芸術的な冷菓だったといわれています。
グラスの中にアイスクリームや果実、クリームを重ねる“日本のパフェ”が生まれるのは、20世紀以降。
洋菓子のエスプリと日本人の繊細な感覚が出会い、
やがて昭和期には独自のスタイルへと進化していきました。
季節を映す器。甘味の中の静かな歓び。
パフェは、そんな時間をそっと閉じ込めたデザートです。
抹茶パフェという新しい風
抹茶パフェが誕生したのは、1969年(昭和44年)。
京都の老舗茶房「京はやしや」で生まれました。
抹茶商品の開発を進めていた同店が、
「抹茶の新しい味わい方を届けたい」と考え、アイスクリームとの組み合わせに挑戦したのです。
抹茶のほろ苦さと、クリームのまろやかさ。
ひんやりとした甘さの中に感じる静かな余韻。
それは、和と洋が溶け合う新しいおいしさでした。
瞬く間に人気を集め、今では日本の甘味文化を象徴する存在となっています。
完全でありながら、常に進化し続けるデザート。
パフェという名の“完璧”は、きっとその変わらない探求心の中にあるのかもしれません。
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