船上料理人が生み出した、やさしさの蒸し菓子 - プリン

スイーツコラム

プリン──その響きには、どこか温かくて、懐かしい香りが漂う。
でもこのお菓子の始まりは、意外にも荒波の上でした。

時は16世紀、大航海時代。
1588年の英西戦争のころ、イギリスの船上料理人たちは、
限られた食材を無駄にしないため、余ったパンくずや肉の脂身を卵液に混ぜて
蒸し焼きにしたといわれている。
それが、プリン──当時の「プディング(pudding)」の原型だ。

やがて時代が進み、18〜19世紀には砂糖が広まり、
やさしい甘さととろみを持つカスタードプリンが登場する。
この“甘くてやわらかい幸せ”が日本に伝わったのは、江戸後期から明治初期にかけてのこと。
1872年に出版された『西洋料理通』には、
干柿や蜜柑を使ったプリンなど、すでに日本流にアレンジされたレシピが並んでいる。

世界の裏話

1963年、アメリカのゼネラルフーズ社(現クラフトフーズ)が
インスタントプリンの素を発売した。
それをきっかけに、1964年には日本でもハウス食品が「プッチンプリン」の前身となる
家庭用プリンミックスを販売。
それまで“洋菓子のひとつ”だったプリンが、
一気に家庭の味へと広がっていった。

プリンを食べながら聴きたい音楽

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k-fukamachi

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