「チーズケーキの歴史は古い」と聞くと、ちょっと意外かもしれません。
でもそのルーツをたどると、なんと紀元前776年、古代ギリシャのオリンピックまでさかのぼります。
当時の選手たちは「トリオン」と呼ばれるチーズを使ったお菓子を食べていたそうで、
これが“チーズケーキの祖先”という説もあるんです。
とはいえ、その材料は今のようなクリームチーズではなく、
羊や牛のミルクを固めたシンプルなもの。
そこに栄養を求めて、はちみつをかけて食べる──そんな素朴なお菓子だったようです。
少し想像してみると、どこかプリンのような可愛らしさも感じられますね。
やがてこの“古代のおやつ”はヨーロッパ中に広がり、
ポーランドのポドハレ地方では「セルニック」と呼ばれる焼き菓子へと進化します。
白チーズと卵を混ぜ、オーブンで焼き上げたその香りは、
まさにベイクドチーズケーキの原点。
そして時は流れ、アメリカで1872年にクリームチーズが誕生すると、
チーズケーキは一気にモダンなスイーツへと変貌を遂げます。
世界の裏話
日本にチーズケーキが登場したのは1969年のこと。
製菓会社モロゾフの社長・葛野友太郎氏がドイツ出張中に出会った
チーズケーキの味に感動し、「日本でも作りたい」と商品化を決意。
初期は手づくりに近い工程で、1回に20〜30個しか作れなかったとか。
そこから半世紀──いまやコンビニでも専門店でも、
“チーズケーキ戦国時代”といえるほど種類が増えました。
けれど、どんな形になっても、あのやさしい香りと
しっとりした甘さに包まれる瞬間は、昔も今も変わらないのかもしれません。
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